対応できる症状

①血尿のみで、その他特に症状がない

膀胱がんの可能性があります。

膀胱鏡検査が必要となります。当院では痛みの少ない軟性膀胱鏡(径の細いカメラ)で検査します。
その他の疾患も考えられ、上部尿路(腎盂と尿管)に異常が考えられる場合、CTウログラフィー(造影剤使用)が必要となります。(当院にはないため、CT設置施設を紹介させていただきます)


②残尿感、排尿時痛、頻尿

膀胱炎、尿道炎、前立腺炎(下部尿管結石)等の可能性があります。

ただし、上記症状に加えて発熱を伴う様な場合は、急性腎盂腎炎、急性前立腺炎、急性副睾丸炎等も考えられます。
場合によっては、入院を要する事もあります。


③会陰部、腰、尿道、鼠径部、大腿、下腹部などの痛み

慢性前立腺炎の可能性があります。

正確な診断や適切な治療が難しい疾患で、症状や状態などにきめ細かく合わせた治療を行う必要があります。
治療を受けても症状が続くこともありますので、いわゆる、あちこちの病院を受診することになる「ドクターショッピング」の状態に陥りやすい病気と言えます。
再発性疾患ともいわれており、この病気と付き合っていくといった意識も持つことが重要です。
直腸診で肛門より前立腺を触診し、しこりや圧痛があるか確認します。状態により、前立腺マッサージを行い、前立腺圧出液を採取して炎症・細菌の有無を確認します(前立腺炎の方は、かなりの痛みを伴う可能性があります)。 特効薬や、有効な手術があるわけではないので、生活環境、生活習慣の改善が必要になります。痛みが強い方は自由診療になりますが、スターフォーマーが有効なことがあります。

スターフォーマーとは

④夜間頻尿、尿勢低下、排尿困難

前立腺肥大症、前立腺癌、尿道狭窄、膀胱結石、尿道結石、神経因性膀胱 等の可能性があります。

夜間1回の排尿量が少ない場合、膀胱、前立腺の異常(上記疾患 等)が原因となる事が多いです。
また、夜間1回の排尿量が多い場合、夜間多尿が考えられます。
その際はアプローチが変わり、お薬が効かない事が多く、減塩などの食事の見直しが必要となることも多いです。内科的疾患(高血圧、心不全、腎機能障害 等)が隠れていることもあります。
足がむくむ場合は、そのむくみが夜間の尿量に繋がることもありますので、昼間のふくらはぎのマッサージや、弾性ストッキングの着用などの、むくみ対策が必要となります。
現状では夜間の限られた時間の尿量を減らすお薬があり、男性に限って保険適用となります。副作用もありますので、検査で適応となる患者さんのみ処方が可能です。

夜間頻尿とは

⑤頻尿、尿意切迫感

過活動膀胱の可能性があります。

過活動膀胱は生活習慣と関連があり、肥満、運動、喫煙、食事、飲水、カフェイン炭酸飲料摂取、便秘などの改善が推奨されています。
体重減少で有意に改善された報告もあります。
現在は抗コリン薬とβ3作動薬といった薬以外にも、少し侵襲はありますが、ボツリヌス毒素膀胱壁内注入療法や仙骨神経刺激療法といった治療法もあります。


⑥腰痛、側腹部痛、血尿

腎尿管結石、腎盂尿管腫瘍等の可能性があります。ただし、突然この症状が出現した場合は尿管結石の可能性が高いです。

尿管結石の場合、まずは保存的に結石が移動するか確認しますが、1か月以上移動がない場合は砕石手術が必要となる場合があります。
その際は砕石装置を設けている基幹病院を紹介させていただきます。


⑦膀胱に尿が溜まると痛い

膀胱痛症候群(間質性膀胱炎)の可能性があります。

膀胱鏡で確認します。局所麻酔下に膀胱内にある程度の水を入れ拡張させ、点状の出血があるか、潰瘍性病変(ハンナ潰瘍)があるかなどを調べます。
間質性膀胱炎に対して保険適用となる内服薬は未だにありませんが、最近はDMSO(ジメチルスルホキシド;ジムソ®)の膀胱内注入療法も保険適用となっています。


⑧膣から丸いピンポン玉のようなものが出る感覚がある

骨盤臓器脱の可能性があります。

保存的な治療は減量、薬物療法に加え骨盤底筋群を鍛えること、並びに臓器が出てこないように体内(膣内)に挿入するペッサリー留置や体内に挿入しないフェミクッションなどがあります。
ただし保存的な治療で改善しない場合は外科的な治療が必要となりますので、ウロギネ科を標榜している病院、もしくは手術実績のある病院を紹介します。


前立腺がん検診について

2019年に日本で前立腺がんと診断された患者数は、94,748例と報告されており、また男性が罹患する癌の中では第1位です。今後も増加が予想されます。

なお、前立腺がんは初期には無症状で経過する事が多いため、以前はかなり進行した状態で受診される患者さんが多く存在していました。しかし、最近は前立腺癌の腫瘍マーカーであるPSA(採血)を含めた検診が増えてきたため、早期の状態で発見される割合が増加してきました。
当然、 他臓器の癌と同様に早期の状態で発見された方が根治しうる可能性も高いため、是非PSAの採血をお受けになられる事をお勧めいたします。

もし、PSAの数値が高い様であれば、直腸診、経直腸的前立腺エコーならびにMRIによる検査等の諸検査を行い、やはり癌を強く疑う際には前立腺の組織を採取する前立腺生検術を受けられる事をお勧めいたします。

この採取した前立腺組織に癌細胞が存在していないか病理検査によって確定診断をいたします。

※前立腺生検術について

当院では平日の水曜日(もしくは金曜日)の午前中に行っております。
仙骨硬膜外麻酔下に日帰りの検査として施行しております。朝一番にお見えいただき、14時頃まで経過をみて、出血等の異常なければお帰りいただくようになります。